歯の基礎知識How Cavity Works?
自宅で簡単にできる!虫歯の予防法
ほとんどの人にとって、虫歯とは痛く辛いもの。 虫歯には「早期発見」と「早期治療」が大切だと頭では分かっていても、なかなか歯医者へ足を向ける意欲や時間がないのも事実のことだと思います。
そこで今回は自宅でも簡単に虫歯を早期発見できるチェック方法を紹介します。 ぜひ一度お気軽に試してください。
虫歯ができるメカニズム
歯科医院へ行ったものの、歯科医師から「様子をみましょう」といわれた経験はありませんか。 これは別に歯科医師にやる気がないわけではなく、初期段階の虫歯であればそのままでも自然に治ることを知っているからです。 このように、虫歯の進行状態を理解していれば、歯科医院と上手にコミュニケーションを取ることができます。
虫歯の進行状態は5段階に分かれている
虫歯の進行状態はおおまかに
- - 奥歯の溝が黒ずんでいる「C0」
- - 歯の表面に小さな穴が空いている「C1」
- - 冷たいものが染み始める「C2」
- - 激しい痛みが伴う「C3」
- - 歯がほとんど消失している「C4」
という5つに分類できます。 初期段階の虫歯であるC0やC1は自然に治るケースが多いようですが、C2以降は自然に治る可能性はほとんどなく、歯科医院での治療が必要です
初期の虫歯にとって重要な脱灰と再石灰化
虫歯の初期状態では歯の表面が白く濁って光沢を失っていることがよくあります。 この状態のことを「脱灰(だっかい)」といいますが、この段階では歯科医師でも経過観察を選択する場合が多いようです。 しかし、そのまま脱灰の状態を放置しておくと、徐々に初期の虫歯へと変化していきます。
脱灰を虫歯へと変化させないためにも、正しい方法による歯の「再石灰化」が必要です。 歯の再石灰化を促進させることによって、初期の虫歯であれば自然治癒することも可能です。
初期の虫歯を自分でみつけるためのチェック方法
前項で虫歯ができるメカニズムをみてきましたが、次に初期の虫歯をみつけるための方法を紹介したいと思います。 歯科医院に行く時間が取れない方であっても、自宅で気軽にチェックできます。気軽にお試しいただけますので、ぜひ鏡をお手元に用意してご覧いただくことをおすすめします。
虫歯をみつけるために確認するべきポイント
初期の虫歯を自分でみつけるためには、自身の目でしっかりとチェックすることが大切です。 そこで最初に注目していただきたいのが歯と歯茎の境目です。 歯と歯茎の境目が白くなっている場合は、歯の表面のエナメル質が溶け始めていますので、虫歯の初期状態だと考えられます。
また、目の届きにくい場所ですが、奥歯の溝もぜひチェックしてみましょう。 奥歯の溝は非常に虫歯が発生しやすいポイントです。 溝が黒い場合には歯科医師による診断をおすすめします。
初期の虫歯を発見するために役立つおすすめグッズ
前項で、初期の虫歯をチェックするためには、奥歯の溝が重要なポイントであることを紹介しました。 しかし奥歯の溝は普通に鏡をみただけでは、確認することが困難だと思います。
そこでおすすめしたいのが、薬局やスーパーでも購入できるLEDライト付きのデンタルミラーです。 このLEDライト付きのデンタルミラーを使用することによって、暗い口腔内の奥歯をしっかりと視認できます。 歯科医院で使用されるミラーにも近い形状ですので、確実に虫歯をチェックしたいと思われる方は購入されることをおすすめします。
初期虫歯の進行を自力で抑える
歯科医院での診断が原則ではあるものの、どうしても時間が割けず、虫歯の進行を可能な限り自力で抑えるとしたら、歯の再石灰化を促進させる必要があります。 そのためには日常生活における歯のお手入れがとても重要です。 ここでは再石灰化を促進させる歯のお手入れ方法をいくつか紹介したいと思います。
歯磨きにフッ素入りの歯磨き粉を使う
フッ素入りの歯磨き粉で歯磨きを実施することによって、唾液に含まれるカルシウムが歯に付着しやすくなります。 カルシウムが歯に付着することによって、虫歯菌の活動抑制や歯のエナメル質強化などの効果が期待できます。
フッ素入りの歯磨き粉を購入する場合にはパッケージの成分表などを確認して、フッ素濃度400ppm以上の歯磨き粉を購入することをおすすめします。
フッ素入り歯磨き粉の人気おすすめランキング3選
内容量 | 130g×2個 | フッ素濃度 | 1450ppm |
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成分 | 炭酸水素Na・ラウロイルサルコシンNa・酸化アルミニウム | 形状 | ペーストタイプ |
分類 | 医薬部外品 |
内容量 | 135g×2個 | フッ素濃度 | 1450ppm |
---|---|---|---|
成分 | 無水ケイ酸A・ソルビット液 | 形状 | ペーストタイプ |
分類 | 医薬部外品 |
内容量 | 90g×2個 | フッ素濃度 | 1450ppm |
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成分 | MAG(グリチルリチン酸モノアンモニウム)・ツインシリカ(清掃剤:含水ケイ酸) | 形状 | ペーストタイプ |
分類 | 医薬部外品 |
歯ブラシとデンタルフロスを併用する
歯磨きの際に歯ブラシだけではなくデンタルフロスを併用することによって、虫歯の原因となる歯垢を効率的に取り除くことができます。 ある研究によると歯ブラシとデンタルフロスを併用することによって、口腔内の歯垢を約80%以上除去できたという結果も出ているようです。
歯磨きだけでは物足りないと思っている方は、デンタルフロスの使用もご検討いただきたいと思います。 デンタルフロスには糸巻きタイプとホルダータイプがありますが、初めて使用する方には扱いやすいホルダータイプをおすすめします。
デンタルフロスの人気おすすめランキング3選
キシリトール配合のガムを噛む
歯の再石灰化を促進させるためには、どうしても唾液に含まれるカルシウムやミネラルなどが必要です。 そこでおすすめしたいのがキシリトール配合のガムを噛むことです。
キシリトールは虫歯の原因になる酸を作らない人工甘味料なので、虫歯の予防には効果があります。 加えて、キシリトールのガムを噛むことによって、甘みが味覚を刺激して唾液の分泌を促進します。 また、虫歯の原因菌の活動も抑制させる効果もあります。
歯にいいガムの人気おすすめランキング3選
内容量 | 143g | 形状 | 粒ガム |
---|---|---|---|
味 | クリアミント | 主な成分 | マルチトール・ユーカリ抽出物・キシリトール48% |
歯科専用 | × |
内容量 | 140g | 形状 | 粒ガム |
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味 | グリーンミント | 主な成分 | マルチトール・還元水飴・CPP-ACP・キシリトール |
歯科専用 | 〇 |
初期の虫歯であってもしっかりとした対応が必要
ここまで、自宅で気軽にできる初期虫歯のチェック方法や進行を抑える方法などを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。 初期の虫歯だからといって放置し続けると、自然治癒が不可能な状態にまで虫歯が進行してしまいます。 そうなると大切な歯を抜かなくてはならないケースも出てきますので、初期の虫歯であってもしっかりした対応を取ることが求められます。
虫歯に対して何よりも大切なのは、初期段階で早期に発見して迅速に治療することです。 今回紹介した簡単にできる虫歯のチェックと日常的なケアを心がけていただき、虫歯の早期発見に努めていただきたいと思います。 もちろん、今回紹介した虫歯のチェックだけでは完璧ではありません。 少しでもおかしいと感じたときには、歯科医師による診察を積極的に受けてください。
歯科医が考える良い歯医者の選び方
歯医者は、痛いイメージや抜歯のイメージなどを背負っているため、どうしてもいいイメージで見てもらいにくいのが実情です。 幼児などは正直なもので、歯科医院の玄関を入っただけで泣いてしまう子どももいます。そして、大人にとってもなかなか敷居の高い存在なのではないでしょうか。
今回は良い歯医者に行くときの選び方を、技術面だけではなく、治療方針や衛生面など、様々な視点から確認しやすいポイントをあげてみました。
良い歯医者とは
技術について
歯医者の技術を患者目線で確認することはとても難しいです。では、腕の良い歯医者とはどんな歯医者でしょうか。 歯型を何度もとらない歯医者でしょうか。被せものが外れない歯医者でしょうか。
前者は、単にうまく歯型がとれなかったからではなく、もしかしたら職人目線で納得出来るまで繰り返しただけかもしれません。後者は、単に技術が足りず外れてしまうのでしょうか。もしかしたら、本当は抜かなければならない、保たなさそうな状態の歯を、なんとか残そうと無理をして治してくれているからかもしれません。
これらは一例に過ぎませんが、技術の評価が難しいことを理解していただけたでしょうか。
説明について
インフォームド・コンセントという言葉があります。これは、患者に病状と診断を説明した上で、治療方針を提示し、納得してもらい同意を頂く一連の行為をいいます。
ろくに説明もせずに、削り始めたり、抜歯をしたりするような歯科医師は論外です。きちんと説明してもらえることは基本です。治療前に十分説明してもらえるかを確認しましょう。
さらに、患者に聞こえのいい言葉ばかりを並べるのもどうかと思います。やはり患者のことを思い、直すべきところを的確に指摘してくれる歯医者の方がいいはずです。 優しさだけでなく厳しさを持った指導をしてくれるかどうかも、確認したほうがいいでしょう。 そして、あまりにも口がうますぎるのも注意しましょう。
治療方針
予防治療
むし歯や歯周病になれば、悪くなることはあっても自然と良くなることは稀です。 例えば、むし歯を削って人工材料で詰めて治したとして、その部分は異物が入っているわけです。歯と人工物の隙間というのは必ず存在します。隙間からむし歯が再発することは良くあります。すると、さらにまた削って詰めますので、本来の歯の部分がますます減ってしまいます。
つまり、歯はむし歯や歯周病になる前に予防できるなら、それが一番なのです。 しかし、現在の診療報酬体系は、むし歯や歯周病を治すほうがより点数が高くなる仕組みです。そんな現状で、むし歯や歯周病の治療より予防に重点を置いている歯科医院は、より患者目線で対応してくれていることの証です。確認しておいたほうがいいでしょう。
治療の選択肢
治療の選択肢が豊富にあるというのも、患者にとって大きな利点であると言えます。 特に、やたらに保険外診療を勧めずに、保険診療であっても、幾つかの選択肢を提示してくれる歯医者は、とても丁寧な対応をしてくれていると言ってもいいでしょう。
歯医者の選び方(建物や設備について)
診療所の外観や清潔感
病院や医院の外観がたとえ古くても、清潔感があるところがいいです。 待合室が散らかっていない、トイレが掃除出来ている、院長を含め全てのスタッフのユニフォームがきれいである、こういったことは、滅菌や消毒以前の問題ですし、簡単にわかります。清潔感も確認してみましょう。
滅菌や消毒
患者目線では、これはなかなかわかりにくいのが実情です。器材が仰々しく袋に入っている状態で出されても、ほんとうにきちんと滅菌されているかはわかりません。 そこで、そこの歯科医院の滅菌や消毒に対する考え方を、わかりやすく評価できる点をいくつか紹介します。
ひとつは、手袋です。患者ごとに処置が終われば、きちんと手袋を交換しているかどうかをみるのは、比較的わかりやすいです。処置が終われば手袋を交換するのが、基本です。
また、ショッピングモールに併設されている歯科医院などで、スタッフが白衣を着たままで診療施設から出て買い物をしているとか、それだけでなく、手袋をつけたままだったりすると、もはやこれは論外です。 いくら滅菌や消毒をしっかりしていると広告していても、そのレベルをこうした点から伺い知ることが出来ます。
設備
設備に関しては、なかなか費用の点から新しくしづらいのが実情です。 特に歯科の治療用の椅子は、300万円は下りません。ですから古いものを使い続けている場合も多いです。
しかし、古いものが悪いというわけではありません。そこで確認すべき点は、器材のメンテナンスがきちんとできているかどうかです。 単純な器具ほど故障が少ないので長持ちします。しかし、古くなってきて錆が浮いていたり、縁が欠けたりしているようでは、メンテナンスがきちんと出来ているとは言えません。大きな器械のメンテナンス状況を把握するのは難しいですが、小さな器具の状況を確認すると、想像出来るかもしれません。
待合室
日本の歯科医院は、たいていが予約診療制になっています。歯医者自身が、自らの技量をわきまえていれば、この処置はこれだけの時間がかかるから、次の予約時間はこれだけ確保しておこう、と計画が立てられます。そうすれば、さほど待合室は混まなくなるはずです。
確かに急患が入ることもありますが、待合室が混み合ってしまうほど急患が立て続けに入ることは稀です。 待ち患者が増えると、歯医者の側も心理的に焦らされて良くないです。
患者一人一人にきちんと時間を確保して、丁寧な治療をするためには、やはり計画的な診療が欠かせません。そうした意味でも、混みすぎている歯科医院というのは配慮として問題があるのかもしれません。待合室も確認してみてください。
看板
看板や広告に、「抜かない」「削らない」などと、耳当たりのいい言葉を並べているところもどうかと思います。 抜かなければならない状態の歯は、必ず存在しますし、そんな歯でも残しておくというのでしょうか。むし歯を削らず、どうやって治すのでしょうか。痛くない治療というのはどうやって行うのでしょうか。麻酔の注射の痛みは、痛みには入らないとでもいうのでしょうか。こういった美辞麗句を並べているところは、どうかと思います。
歯科医の考える良い歯医者の選び方とは
歯医者が自分の現在の技量で出来ることと、出来ないことをちゃんと理解しているかどうかということに尽きると考えています。 医療を行なう上で大切なことは安全性の確保です。これは歯科治療でも同じです。特に歯科治療は、外科処置が基本となります。
抜歯が外科処置というとわかりやすいですが、実はむし歯を削るのも外科処置のひとつですし、歯周病の治療で歯石を取る行為も外科処置に含まれます。 一方、歯科で薬を中心にした内科的治療というのは、現在の歯科医療ではないことはないのですが、稀です。
例えば、舌痛症で内服薬を出して経過観察をするとか、口腔カンジダ症という口の中のカビを治すために抗真菌剤で治療するとか、口腔乾燥症で唾液分泌を促進する薬を長期間にわたり処方するとかですが、あまり耳にしないと思います。
このように歯科治療は、外科処置が中心となりますので、自分自身の技量をわきまえておかないと、事故の元となりかねません。 もちろん、医療は日進月歩です。日々、新しい治療方法が開発されていきますので、いつまでも古いことばかりをしていてはついて行くことが出来ません。
しかし、新しい技術も古い技術の上に成り立つものです。基礎たる古い技術がおぼつかなければ、新しい技術もありません。講習会を受講して受講票を壁にたくさん掲げるのもいいのですが、講習会を受けた所で、技術がすぐに身に付く筈もありません。 やはり、自分の限界を知り、無理のない治療を心がける歯科医師のほうが、安全であることは論をまたないです。
口腔外科であれば、親知らずを上手に抜歯出来るかどうか
口腔外科を志すものにとって、親知らずの抜歯は基本中の基本です。なぜなら、親知らずの抜歯術に、口腔外科で必要とされる外科処置の基本が全て含まれているからでもあります。
インプラントにせよ、外傷の治療にせよ、そこには親知らずの抜歯に際して必要とされる技術がすべて含まれています。親知らずを上手に抜歯出来るかどうかも、キーポイントといえるでしょう。
患者情報の照会と紹介
最近は、高齢者の方やなんらかの病気を持っている患者さんが増えています。 そんな中、問診票やお薬手帳の内容から、疑問があれば処置前に必ず内科や外科などの主治医に、病状の問合せを行なう歯科医は安心出来ます。
また、自院で難しいと思われたら、無理せずに病院歯科などを紹介してくれる歯科医も信頼出来ます。
入れ歯は補綴(ほてつ)を学んでいるかどうか
歯が欠けてしまったり失われた場合に、被せ物や詰め物、入れ歯やインプラントなどの人工物で補うこと補綴(ほてつ)と言います。 この補綴(ほてつ)による治療において、日本歯科補綴学会という団体が「補綴専門医」の認定制度を設けています。
日本全国で、歯科医師の人数は、約10万人以上いると言われていますが、その中でこの学会に認定を受けた補綴専門医は1,222人と歯科医全体の1%にすぎません。
入れ歯治療は、歯科のなかでも難しい分野の1つで、上手な歯科医師や補綴を学んで経験が豊富な医師は少なく、すべての歯科医師が、同じ品質の入れ歯治療の提供ができるという訳ではありません。 お悩みの方は、この辺りも確認すると良いかもしれません。